尻フェチ海鮮丼イーターのメモ

異性のお尻と海鮮丼が好きなキモ男です。普段考えていることを気の向いた時に書いていきます

モノレール

  モノレールというのは不人気な乗用車からタイヤを外して、それを縦に潰したような見た目をしているからどうにも格好が悪いなとかねがね思う。とは言え、乗ってみると案外悪くないものだとも思う。

  僕は17歳の時にようやく東京の土地を踏んだ。西日本の田舎から飛行機に乗り、ようやく羽田空港に着いた時には高揚感よりも疲労感が強かった気がする。空港というのは辺鄙な所にあるもので、上野に宿をとっていた僕にすれば、東京モノレールで浜松町を目指さなければ不便であった。その際に跨座式のモノレールに乗ったのが初めてだっただろう。モノレールには跨座式に対して懸垂式というのがあるが、あれはスキー場のロープウェイみたいで、宙吊りになっている。首吊りをした人間が輸送されているみたいでどうにも気味が悪いから、実際に乗ったことはないがきっと嫌いだろう。

  幼児が2人は入ろうかというようなキャリーバッグを狭い車内の隅に押し込んで席に着き、そこでやっと一息ついた。斜め前に何気なく目を向けると、ちょうどその方向に座っていたスーツの男がこちらを見ていて、意地の悪い狐のようで気持ちの悪い顔付きをしたやつだなと思った。僕は偶然にも1号車に乗っていたため、車両後方を除く全方位がガラス張りになっており、目まぐるしく変化していく車窓の眺めは空中映画館とでも形容できそうだった。高所から眺める街並みが移り変わっていくのは見ていて大変結構である。

  浜松町に着いて、京浜東北線の改札前で肩掛け鞄のポケットに入れておいた龍角散のど飴を取り出して口に放った。勢いよく放ったせいで喉の奥に飴が滑り込みそうになったから体勢を前傾させて悶えるようにしてみたのだが、連日の睡眠不足のせいで立ちくらみがして、無様に躓いてしまった。側を通り過ぎた大人の内の1人が頬を弛緩させたが、あれは僕が口に入れていた飴の匂いを嗅ぎつけて、「あの子供は龍角散のど飴なんて舐めるのか。爺さんみたいだな」と思って笑ったに違いない。

  大船行きの電車に乗って神田を通り過ぎた時に口の中を舌で探ると、先程舐め始めた飴がまだ舌の上で転がっていた。僕の座っていた真向かいに目を向けると、やはり意地の悪い狐のような顔をした男が座っていたから、モノレールで見かけたスーツの男を思い出して少しだけ不快になった。ひとまず気を紛らわそうと窓を見たが、一般道と大差ない高さを走る電車から見る景色はどうにも味気なかった。

  東京での詳しい話はまた折を見てしようと思うが、このまま話すと収拾がつかなくなりそうだから一旦筆を置くことにする。